●ツバル2003年取材レポート

2003年3月15日〜27日にかけて、ツバルの首都フナフチ環礁へ取材に行ってきました。

ツバルでは10数年前から、毎年2月から4月にかけての大潮の満潮時に洪水が発生する現象が起こっています。

洪水が起こるのは上の表(タイドテーブル)の赤丸が付いている時間です。18日17時07分が3.16という数字が記載されていますが、これは基準点から3.16mの高さまで海面が上昇することを示しています。3mを越える満潮が起こるとフナフチでは至る所で洪水が発生するのです。

左の地図はフナフチのダウンタウンでの洪水発生場所を示しています。島の内側で被害が発生している事が良くわかります。

ツバルのような環礁の島は、内部が珊瑚礁の堆積物で出来ているので、海水がその中を通って表面に沸き出してきていると考えられます。

(1):滑走路端の集落の様子。

上が洪水の前、集会場(マニアバ)の前の広場の写真です。洪水になると広場全体が浸水してしまいます。右側に椰子の木の列がありますが、海水による塩分で椰子の木は大きなダメージを受けていて、実をつける事も出来ませんし、奥の方から枯れ始めてきています。

大潮が始まると、海水がマニアバ左奥から広場全体に広がっていきます。30分ほどで冠水してしまいます。よく観察していると、右奥の滑走路の脇や、右側の椰子の木の下にある民家の周辺からも沸き出しています。

広場横の住宅の様子です。海水が噴き出してきている様子がわかります。写真に写るくらいなので、実物を見ると本当にビックリします。

(2)道路上の冠水

道路が20m位に渡って冠水しています。雨水であれば問題がないのですが、海水なので、リヤカーやバイクがこの中を通ると車輪が錆びたり故障の原因になります。

この箇所は道路右側から海水が沸き出す部分があって、そこから流れ出してきます。

(3)滑走路の脇の洪水

滑走路の脇の草地にでも洪水がおこっていました。洪水はすでに珍しいものではないので、その脇で島民が気にも留めずにサッカーをしています。

ここは、草地のどこかからじわりじわりと水が涌いてきています。ここで沸き出した水は左側に流れ出して右の写真、外務省の建物の駐車場、そして、この建物の裏側の民家とタロイモ畑へと流れ込んでいきます。

滑走路の大部分は冠水を逃れていますが、今の調子で水位が上がっていけば、いずれは滑走路にも被害が及ぶかもしれません。

(4)外務省裏手の住宅地の様子

右上の写真、外務省の建物の裏側です。中央のタンクは雨水を貯めるタンクです。ツバルは地下水が出ないので飲み水となる雨水はとても大切です。

そのタンクにも海水が迫っているのがわかります。タンクの周りにはバナナの木があります。幸いな事にここのバナナはまだ傷んでいません。

周囲には大きなタロイモ畑がありますが、海水はそこにも流れ込んでいました。海水の塩分による塩害の被害は顕著で、フナフチのタロイモ畑では、大きなイモを収穫出来なくなっています。

(5)気象庁と発電所付近

写真中央の軽トラックが止まっている所は滑走路の上です。これ以上進むと車輪が海水に浸かってしまうので進めません。

奥に見える青い屋根の建家は飛行場の建物です。

海水は発電所がある左側の方向から沸き出してきて、滑走路まで到達しています。

発電所の方角です、なんだか湿地みたいに見えますが、すべて沸き出してきた海水です。中央の建物は電話局、その隣がディーゼル発電所です。

電話局にはパラボラアンテナやソーラーパネルと言った電子装置がありますし、発電所が浸水したら大変な事になります。

2002年オーストラリアの研究機関は海面上昇は起こっていないと公表しましたが、この様な状況を目の当たりにすると、とても心配になります。

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