南の島の大問題

2003年12月改訂

ここのところ、クリスマス島のサンタクロースは悩み事がつきません・・・なんだか島の天気がおかしいのです。本来あまり雨の降らないクリスマス島なのに、雨の日が増えたような気がする....

それに、よその島では高波で家や道路が流されたりしているという噂も聞こえてきます。島の子供達は大丈夫だろうか?とても心配です。

地球温暖化(GreenHouse Efect)

ここ何年か夏になると、今年は去年より暑い。その上スコールのような雨もふるし、なんとなく東南アジアの気候に近づいているような・・・冬の雪も少ないですよね...

地球は今までに例がないほどのスピードで温暖化しています。温暖化というと温かくなって嬉しいような気がしますが、地球規模でのこの現象は「灼熱化」と表現しても良いくらい急激な変化なのです。その原因は私達が日常生活の中で無意識に生み出している「温室効果ガス=二酸化炭素等※」です。

地球温暖化によって南の島にはすでに様々な被害が出始めています。後ほど被害状態をご紹介しますが、その前に、なぜ温暖化しているのか?温暖化するとどうして南の島に被害が出るのか?それは日本にはどのような被害をもたらすのか?整理してみました。

※温室効果ガスには様々なものがあるが二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、対流圏オゾン、クロロフルオロカーボン(CFC)の5つの物質が代表的である。

●地球温暖化は私達の生活や経済活動が原因になっています。

右の図は、IPCC(※)が2001年に発表した第3次報告書に掲載されているグラフです。

上段は過去1000年における北半球での気温変化を示しています。下段は同じタイムラインでの二酸化炭素の排出量の変化を示したグラフです。

ピンクの線を引いた1800年頃から二酸化炭素の排出量が増え始め、それから500年後あたりから、気温が上昇し始めているのが分かります。

1765年にイギリスでワットの蒸気機関発明を機に、ヨーロッパは産業革命を迎えます。その結果、大量の二酸化炭素が排出される事態になったのです。

報告書は一連の上昇傾向が私達=人間の活動によるものであることを明確に指摘しています。

第3次報告書(気象庁訳)

※IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)世界有数の科学者が参加する評価機関。世界気象機構(WMO)に事務局があり、次回の報告書は2007年に発行される予定。

●今後、二酸化炭素は増え続けていってしまいます・・・

同じくIPCCの報告書にある二酸化炭素の排出量の予想をしているグラフです。右は大気中の濃度の予測です。色々な状況を想定して予測を立てているので、ぐちゃぐちゃしていて見にくいですが簡単に整理すると

最悪の状況を導く赤の点線は、私達がなんにも考えないで今のままの浪費生活を続けた場合です。特に化石燃料に強く依存し続ける状況を想定しています。


これは上記と違い、化石燃料と新しいエネルギーとのバランスを重視した場合です。


一番排出量を抑える事が出来る緑の実線は、経済構造が物質指向・消費社会から移行し情報やサービスを重視する社会を想定した場合です。モノを作らなければ二酸化炭素は排出されないのです。

整理した3つのケースはいずれにしても2050頃に世界人口のピークを迎え、その後は減少する事を想定しています。人間が増え続けるとの線があらわすように取り返しの付かない事になると予想されています。また、いずれの想定でも京都議定書などで規定されている温暖化対策を行っていない事が条件になっています。

では2050年頃から排出量が減少しますが、右の大気中濃度は減少しません。これは一度大気中に排出されてしまった二酸化炭素が長期間にわたって大気中に存在する事を示しています。二酸化炭素の排出を今すぐゼロにしても、温暖化はすぐには止められないのです。

※京都議定書:1997年の地球温暖化防止京都会議で採択された気候変動枠組み条約の議定書。2008〜12年の間に、温室効果ガスの排出量を、先進国全体で1990年より5.2%減らすことを決め、EU全体で8%、米国で7%、日本で6%など国ごとの削減目標値も定められた。後に米国・ロシア・オーストラリアなどの大国が議定書に反対する姿勢に転じた為、未だに発効の目処が立っていない。

●二酸化炭素が増えれば地球温暖化もどんどん進みます。

今後100年間の大気中の平均気温の上昇を予想するグラフです。上段で紹介した二酸化炭素濃度とほぼ同じ曲線となっています。

このことからも二酸化炭素と地球温暖化の間に強い関連性があることが分かります。

100年後、平均気温は最悪で5.8度上昇することが予想されています。平均気温で5.8度ですから場所によっては10度とか15度とか上昇しているかもしれません。

●温暖化が進むと海水面が上昇します。

気温の上昇は様々な影響を引き起こすと予測されていますが、中でも、山岳地帯や極地での氷が溶けて海に流れ出してしまう事、大量の海水が温められて膨張してしまう事、この2つの理由によって海水面が上昇することが予想されています。

グラフでは100年後最悪で88cmを越える上昇を予想しています。この海面上昇が南の島々に大きな被害を与え始めているのです。

特に、珊瑚礁だけで構成されている、クリスマス島をはじめとするモルジブ、ツバルなどの小さくて海抜の低い島国にはすでに大きな被害が目立ち始めているのです。

●日本ではどのような被害が予想されているのでしょうか?

5.8度というのはどうにでもなる数字の様にも思えますが、実はそうでもないのです。今から1万年以上前の最後の氷河期の時でも、平均気温は3〜6度程度低いだけだったのです。

1万年前といえば、旧石器時代が終わり、文明が始まる一歩手前の頃です。1万年という途方もない時間をかけても3〜6度しか上昇しなかった気温が、100年という一瞬で6度近くも上昇してしまうかもしれません。日本でも様々な被害が予想されています。

環境省のホームページから抜粋してみました。温暖化の被害の予想(環境省)

1、水資源 〜ますます深刻となる水不足や水被害

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都市圏では特に夏、今でも水不足に悩まされる事がありますが、その状況が加速します。

2、自然生態系 〜絶滅する種が増える

リンゴが作れなくなったり、熱帯系の動物が増加したりするかもしれません。

3、沿岸域 〜海面上昇により沿岸域の低地が水没する

日本にも海抜が低いエリアが沢山あります、大きな被害が予想されています。

4、人の健康 〜死亡率や伝染病危険地域が増加する

熱帯性の伝染病などが猛威をふるうかもしれません。

5、公害との複合影響 〜温暖化は公害を加速する

気温が上昇する為に光化学スモッグなどの公害が拡大するおそれもあります。

地球温暖化による被害は他人ごとではないのです。次のページでは、すでに被害を受け始めている南の島々の状況をご紹介します。

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Merry Christmas from Christmas islandは温暖化による海面上昇の被害を受けている南の島々の現状を、多くの方々に知っていただきたいという目的でロケットミュージック・エコプロデュース部が制作・販売しています。売上の一部は海面上昇の被害を受けている現地政府に提供されています。

協力:クリスマス島クリーンアップ基金
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