2014年のプロジェクト報告


運搬・押印に当たってのレポート
 

本年も数多くのご支援誠にありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。

12/03
成田空港

例年クリスマス島に渡航している本プロジェクト代表の助安博之の意志を引き継ぎ、ギタリスト、はなむらひろとが単身クリスマス島に向い、現地の様子をレポートします。

クリスマス島の情報は日本では手に入りにくいのが実情です。アミューズメント施設がほとんど存在しないキリバス共和国に渡航する人が少ないことも一因でしょう。今回のクリスマス島での生活を発信することによって、クリスマス島での生活をたくさんの方々とシェアできたらと考えています。そんなことを思いながら2014年12月3日夜、冷え込む成田空港を飛び立ちました。



成田空港。人が少ないせいもあり、建物内でも少し冷え込みます。


ホノルル空港
成田からホノルルまでおよそ7時間半でホノルル空港に到着。飛行機の外に出るとアメリカのにおいがしました。乾いた草と、アスファルトが混ざったような特徴的なにおいは、アメリカ本土にある空港でも同じです。
JALの到着ロビーからフィジー航空の出発ロビーまで移動します。他の航空会社の窓口は開いているのに、フィジー航空は閉じたまま。その周辺にも誰もいません。少し不安になります。
搭乗時間1時間前にフィジー航空に行くと、すでに30人ほどの人が列を作っていました。無事チェックイン。クリスマス島行きの飛行機は9日に1本しかないため、機内は満席。そのほとんどが釣り竿を持ったフィッシャーマンです。日本人と思われる人はいませんでした。



ホノルル国際空港。空が広い。そして暖かい。


キャシディー国際空港
フィジー航空機に乗っておよそ3時間半。陸地などどこにも見えなかった大海原にぽつんと見えた島がぐんぐん近づいてきます。上空からは島の全景を眺めることができます。地面にまるでたくさんの穴があいたように海が侵食している独特のサンゴ礁の島、クリスマス島です。
着陸直前に窓から下を見ると、何人かの子どもたちが飛行機走って追いかけています。そしてその子どもたちの周囲にいる大人のほとんどが笑顔でした。この飛行機は歓迎されているのが分かります。
飛行機は大きな音を立てて空港に滑り込みます。キャシディー空港は沢山のヤシの木に囲まれたのどかな空港です。成田空港とは異なり、飛行機を降りた後は滑走路を横切り乗客が自ら建物に向かって歩いていきます。
入国審査は滞在先と渡航目的を聞かれる程度で簡単に終わりました。
その後、空港に来ていたホテルの従業員ガタに会い滞在先まで連れて行ってもらうことになりました。



飛行機のタラップから空港の建物を望む


クリスタル・ビーチ・ホテル
空港からクリスタル・ビーチ・ホテルまでは車でおよそ20分。到着までいくつかの集落を通り過ぎます。日本とは全く異なる現地の生活環境の一端を見ることができます。そして驚くのは笑顔の人が多いこと!大人たちはみんなゆっくりと歩き、時間の流れ方も日本とは大きく異なることが実感できます。



クリスタル・ビーチ・ホテルに続く道


そしてクリスマス島の大通りを海岸に向かって入って行くとクリスタル・ビーチ・ホテルが見えてきます。白い砂浜にいくつかの建物。南国の写真集そのままの景色がありました。
ホテルでは滞在中の生活を助けてくれるホテル従業員リサと会います。リサはアメリカ留学経験がある女性で、英語でのコミュニケーションには全く問題を感じませんでした。



クリスタル・ビーチ・ホテルのリサ


島にはレンタカーショップはありません。(一般的には滞在先のホテルにお願いすれば用意してもらえるようです。)今回はリサの知り合いの自家用車を貸してもらうことになっているので、ホテル到着後すぐに出発します。



レンタカーオーナー


彼の家はホテルから車で5分程度の場所。直径5メートルほどの池を囲むように作られた家。たくさんの洗濯物が干してあり、ヤシの木には豚が繋がれています。オーナーと直接自動車レンタルの日数や金額の交渉のあと、車を借りられることになりました。彼は過去に漁船で働いていた経験があり、日本にも何度か立ち寄ったことがあります。世間話をしてその家を後にします。 



オーナーの家にある池



クリスタル・ビーチからの夕日


車を借りた後はホテルに戻りビーチで長時間移動の疲れを癒やします。この素晴らしい夕焼けにはどんなエナジー系ドリンクも敵いません。疲れが一気に吹き飛ぶ瞬間です。



1日目の夕食


その後ホテルのレストランでディナー。海水が侵食した珊瑚礁の島では野菜は育ちません。定期便で運ばれてきた貴重な野菜をおいしく頂きます。また、フライドライスや焼き魚などの味付けは日本の物に近く、美味。レストランにいるとホテルで働く人たちが代わる代わるやってきて「どこから来たのか?」「何をしに来たのか?」果ては「結婚しているのか?」「彼女はいるのか?」といった質問になりました。みんな久しぶりの日本人に興味津々です。お陰で少しも退屈することなく楽しい夜になりました。



島の若者たちが集まるアウトドアのバー


ホテルスタッフでバーテンのキリタも、ボーイのショーンもとても人懐こくて結局この日はビーチで真夜中までずっと話していました。笑いの絶えないクリスマス島滞在の幕開けです。







12/04
ポスト・オフィス


お預かりした全クリスマスカードはビーチの空気を吸っています


今日はメインミッション、皆様からお預かりした大切なクリスマスカードをポスト・オフィスにて投函する日。



コーヒー付きの朝食は嬉しい


レストランにて朝食をとっていると、ホテルのオーナーのジムがやって来ました。ジムは軍隊経験もあるキリバス共和国の元大臣。屈強な体躯と屈託のない笑顔がチャームポイントのスキンヘッドの紳士です。短パンとアロハシャツ姿で現れた彼と初対面。彼が島内を案内してくださることになりました。
運転は僕、助手席にジム。ホテルを出発です。



クリスマス島では人々が車を乗り合って移動します



警察車両にも乗り合っています


クリスマス島には現地の方の生活に欠かせない1本のメインストリートがあります。彼らは自動車、バイク、乗合バスなどを使ってこの通りを移動します。メインストリートは現地の人が集まる村落を結んでいます。クリスマス島の村の名前はロンドン、バナナ、テネシー、パリ、ポーランド等ユニークな物が多いです。



タバキア村にある給水塔


ホテルを出発してそのメインストリートを走ると、まず最初に気づくのはキリスト教会の数です。クリスマス島では教会が教育を兼ねることが多く、教会には運動場のような広場があります。続いて目につくのが現地の方の集会所になっている『マネアバ』です。その見た目は、相撲の土俵と吊り天井を何倍も大きくしたようなもの。屋根はヤシの葉で作られています。いくつかのマネアバの下には机と椅子が並べられ、そこで子どもたちが授業を受けているようでした。マネアバもまた教育の場所として現地の人が重要視する場所であるということでした。

そのような景色を眺めながら、島の最も栄えた村『ロンドン』に向かいます。滞在先のクリスタル・ビーチ・ホテルからおよそ15分、ロンドンに到着です。ロンドンは日本が援助して作られた道路があったりしてそれまでの荒れた道とは違い車はスムースに進みます。

ジムはまず病院を案内してくれました。木造の建物。患者さんのベッドは屋外にもあります。雨が少なく非常に過ごしやすいこの島は屋根があれば快適に過ごすには十分です。その近くにある刑務所。クリスマス島で犯罪を犯す人はほとんどいません。そのため刑務所には数えるほどの囚人しかいません。刑務所は簡単に乗り越えられそうな金網で囲まれているだけ。誰でも近寄れるので金網越しに囚人と話すこともできそうです。なかでは2〜3人の囚人がベンチプレスをやっているのが見えました。

ロンドンを回った後、少しだけ来た道を戻りポスト・オフィスに到着。ポスト・オフィスはタバキア村にあります。ここで皆様からお預かりしたクリスマスカードを投函しました。



ポスト・オフィス入り口とジム



ポスト・オフィス



丁寧に押されたスタンプ



カウンターに並べられたポストカード



カウンターに載せきれなかったので局長室にも


黒服の女性はこのプロジェクトでもお馴染みのポスト・オフィス局長テレマ。今回も頑張って何時間もかけてスタンプを押していただきました。

その後、毎回このプロジェクトでお世話になっているこの島の外交のプロフェッショナル、カンルンガに会います。KOIL(キリバス・オイル・カンパニー)KPA(キリバス湾岸公社)に連れて行ってくださいました。その後、ソーラーソルト社(キリバスの塩製造会社)の社員、カイトゥを紹介してくださいました。そして翌日塩田見学をさせていただけることになりました!



カンルンガ宅



カンルンガ宅の庭



自ら住む家を建てる島民



中はとても快適そうです



建築道具も手作り!


その夜、ジムと奥様、そしてジムの友人のトニーとビーチで会食です。トニーはオーストラリアからやって来た水道会社の社員で、上水設備の改善するために数年間島に滞在しているそうです。ジムやトニーが献身的に島のために尽くしてきた歴史をうかがい知ることのできる有意義な時間でした。


クリスタル・ビーチ・ホテルの紹介




12/05
ソーラーソルト社の塩田


この日は昼から塩田の見学です。通常は立ち入り禁止に指定されている上に、到着までの道のりはほとんど迷路のようなので、現地の方の案内無しで辿り着くのは不可能です。また道を間違うと、底なし沼のような場所にタイヤが飲まれてしまい、脱出するのもかなり困難です。



カイトゥをピックアップ



車が一台ようやく通れる、塩田に続く道



水の中に塩の結晶を見る



ラグーンと塩田とを分ける轍



塩田から取り出した結晶を保管するウェアハウス


珊瑚礁の島であるクリスマス島にはほとんど高低差がないので、広大な塩田もぐるっと見渡すことができます。遮蔽物のない塩田は風も強く、塩田に海水が逆流しないようそれが役立っていることにも驚きです。

その後、Linnix(ライン&フェニックス省)に行ってネット接続を試みます。ここではチケットを購入することで時間貸しでのインターネットが開放されています。しかし、この頃クリスマス島全体の電話回線が切り替え工事中だったので、何時間待ってもネットに繋がることはありませんでした。結局前日KOILから送ったメールを最後に日本と連絡を取ることはできなくなってしまいました。



Linnix(ライン&フェニックス省)正面


悪いことに、事故でiPhoneが壊れてしまい、それまでに撮った動画を全て失う羽目になってしまいました。そのため、このレポート内の動画は全てノートパソコンで撮影されています。



壊れたiPhone


Linnixの広場にはインターネット接続を求めて多くの若者が集まります。そこで声を掛けていただいたタカウェという女性は弊社のエコプロデュース部が行ってきたクリスマス島クリーンナップ運動の関係者で、これまでの活動を非常に感謝していらっしゃいました。これまでにやってきたことが現地の方にしっかり評価されていることが分かり、とても嬉しかったです。タカウェとはクリスマス島の音楽に関しても多くの事を話しました。また、タカウェの友人であるアンドレシュカも楽しい方でした。日本に向けたメッセージを頂きましたので御覧ください。


アンドレシュカからのメッセージ


タカウェからのメッセージ



Linnix内のネット接続ができる広場


夜は近所に住む島民の方たちと会食。バーで夜更けまで語り合い、この島の人が持つエネルギーやおおらかさなどがよく分かりました。





12/06
ロンドンでのパーティー


この日は前日に現地の方に誘われたバーベキューパーティーにお呼ばれしてロンドンの岬に行ってきました。DJもいて、飲んで歌って踊れる楽しい時間でした。この時DJから外国の曲を流して欲しいとのオファーを受け、DJブースにノートパソコンを持って行くことに。しかし仕事の都合上その中にはフュージョンしか曲が入っていなかったため、仕方なくそれらを流します(笑)。案の定参加者のノリはイマイチで、すぐに退散するはめに。。。素晴らしい音楽でもTPOを考えなくてはいけないと再認識する出来事でした。



ドラム缶で肉や魚を焼くスタイル


また、このパーティーのそばの船着場で沢山の子どもたちが海に飛び込んだりして遊んでいました。大人のパーティーを抜け出して子どもたちにそっと混じってみました。小学生くらいの年齢だというのに、みんな英語が堪能なことに驚きました!僕に気づくとみんな沢山の質問をしてきます。「どこから来たのか?」「何をしに来たのか?」果ては「結婚しているのか?」「彼女はいるのか?」この辺りは大人も子どもも変わらないですね!でもジョークを言っても変顔をしても大笑いしてくれる素直な子どもたちに感動!パーティー中にもかかわらず時間を忘れて遊びまくってしまいました。これが今回のクリスマス島のハイライト!人見知りのまったくない子どもたち。きっとこの優しさと笑顔がこの島の一番の財産なんだと思います。














パーティーでは、フィジーから移住後この島で様々なビジネスを営むフランシスと出会います。彼は外国人としての目で見たクリスマス島の話をしてくださいました。南国のゆっくりした時間が流れるこの島では、ビジネスを営むにあたって大変なことも多かったそうです。



フランシスの営むお店





12/07
ベイシングラグーン


この日はカンルンガと現地の友人とベイシングラグーン(Bathing Lagoon)に遠足です。マリンブルーの湖。たくさんの魚と優しい風、そして青く澄んだ空。まさにこの世の楽園と呼ぶに相応しいロケーションです。水温は高く、まるで温泉のようでした。ひとしきり泳いで湖畔でランチを頂きます。



ベイシングラグーンの絶景




ベイシングラグーンの中から岸を望む



ラグーンの周りはヤシの木で囲まれている



水中を泳ぐ多くの魚たち


最も青い湖・ベイシングラグーンから


カンルンガがお弁当を作ってくれました。ブレットフルーツと呼ばれるパンの実を使ったもので、これまでに食べたことのない味と触感でした。食後のコーラを飲んでいるとなんと遠くから日本語の会話が聞こえます!!その3人がこちらに向かってきます。



クリスマス島に生えるパンの木


去る2014年12月3日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)は種子島宇宙センターから惑星探査機「はやぶさ2」を搭載したH-IIAロケット26号機を打ち上げました。実はクリスマス島はそのロケットを追跡するための基地があり、偶然にもこの時日本から派遣された3名の方が滞在していらっしゃったそうです。日本語で話す心地よさもあり、帰ってからわざわざホテルを訪ねてきてくださったその中のお一人と夜遅くまで宇宙の話をできたのも素敵な思い出です。彼に思い切って「UFOを観測したことはありますか?」という質問をしてみました。その答えは・・・ここでは書けないですね(笑)。





ところでこの日の夕方、ショーンにヤシの実を取ったことがあるか聞いてみました。すると彼は「毎日のように取っているよ」との事だったので、目の前のヤシの木から実を取ってくれるよう頼んでみると、数秒でヤシの木に登り、あっという間に実を取ってくれました。鍛えられた人間の力ってやっぱりすごい・・・その後で実はおいしく頂きました。


秒速でココナッツを取る男





12/08
クックアイランド


この日は念願の『クックアイランド』へ船で渡ります。
野鳥保護区域に定められたこの島は立ち入りが規制されています。上陸するためには事前にライン&フェニックス省野生保護課(Wildlife Conservation Unit)に許可を申請し、オフィサーに同行してもらう必要があります。この島にはジムの息子のエイリアス君がガイド役、自然環境保護員ウィリアムがオフィサーとして付き添ってくださいました。



この船で出発



クックアイランドを目指す船内



出発から10分ほどでクックアイランドが見えてくる


この島に入るためには知っておかなくてはならない大切なことが2つあります。

1つ目はこの島にはまきびしのようなトゲを持った種子が大量に落ちています。スニーカーなどでこの島の内部に行くことは不可能です。僕のスニーカーのソールは多数の種子のトゲに貫かれ、足の裏は血だらけになりました。その結果島の深部に入ることは諦めることになりました。島に入る前にブーツなどのソールが厚いものを用意する必要があります。



スニーカーに刺さった多くの種子



硬いトゲは靴底を容易に貫通します



ウィリアムは上陸後にブーツに履き替えています


2つ目は島の生態系を壊さないこと。同行してくれるオフィサーは島や鳥に関して豊富な知識で有益な説明をしてくれますが、同時に島に入る人を厳しく監視しています。万が一鳥の卵などを踏んで破壊してしまった場合等は刑罰対象になりますので十分な注意が必要です。オフィサーが歩いた足あとの上だけを進み、周りにしっかり注意することができれば、この楽園を十分楽しむことができます。鳥好きな僕には本当に楽しい時間になりました。



ナディの卵を見せてくれるエイリアス君



卵は物陰に点在しています



木の上で羽を休めている鳥



巣の中にいるヒナたちを見守る母鳥



手が届きそうなほど近くを通り過ぎる鳥たち


また、帰りの船では巨大なマンタに遭遇し改めて自然の素晴らしさに感動しました。



マンタ


クックアイランド


夜、ホテルオーナーのジムと2人で遅くまで語り合いました。ジムが教えてくれたクリスマス島の様々なことを皆様とシェアしたいと思いましたので、思い出せる範囲でここに書き記します。


クリスマス島の人々の暮らし

■人口は5,000人ほど。日本のように一人暮らしをしている人はほとんどいません。一家族7〜10人ほどで1つの家に暮らしています。



妹たちに本を読み聞かせる男の子



大人たちの仕事を見守る子どもたち


■この島では平日の昼だというのに寝ている人や集まって話をしている人を多く見かけます。この事を聞いてみると、クリスマス島での失業率はおよそ50パーセントにもなるということでした。一見驚くべき数字に見えますが、現地の方々の間に失望感は一切ありません。というのも、彼らは仕事が無くても海に入りたくさんの海産物を得る事ができます。その魚を売る事で生活に十分なお金を得る事ができるからです。
先日ホテルの海岸でくつろいでいると、ジムが大きさ1メートルほどのマグロを2人掛かりで抱えて帰ってきました。聞くと、現地の人から70ドルほどで買い取ったとの事でした。その日から数日は新鮮な刺身を食べる事ができました。また、別の日にホテルで夕食をとっているときには40cmほどの巨大なロブスターが出されました。聞くと、海に入りジム本人が捕まえたそうです。
このように海からは容易に魚介類がとれるため、仕事が無いからといってそれで困る人はいないという事でした。



モリで魚をとり海から上がったばかりの人



新鮮なマグロの刺身。


■現地の人は何か困ったことがあると、即座に周りの人に助けを求め、求められた方も全力でその人をサポートするというような環境にいます。男女間の恋愛でも駆け引きという物は存在しないらしく、非常にストレート。心に思ってもいないことを発言することはありません。今日の日本では多くの方が思った事を口に出せず、例えば、非常に不利な環境で働いていたとしても辞めることが難しい環境にいらっしゃるかもしれません。日本では分かっている範囲で毎年およそ3万人が自ら命を絶っています。その事実を彼に伝えると非常に驚いていました。クリスマス島でも過去に自殺する人はいたらしいのですが、1年に1人いるかいないかという頻度なのだそうです。そして自殺の動機は多くの場合恋愛や嫉妬による物だという事です。



カメラを向けるとソーダのカンを持ってポーズを取る女性


■自殺や犯罪率も驚くほど低いクリスマス島ですが、日本と同じように銃を所有する事はできません。強盗や詐欺などは無く、自殺の動機と同じように、痴情のもつれから起こしてしまった殺人事件が数件あったそうです。お金のために人を殺める事は一切無いということでした。実際この島のどこにも危険な場所というのは見つけられませんでした。人々は僕には常に笑顔で挨拶をしてくれます。


すれ違っただけの人も挨拶してくれるキリバスの人


■美男美女の条件も聞いてみました。男性は筋肉があり、コミュニケーション能力が高く、短髪のジェントルマン。背は高くもなく低くもない人の人気が高く、女性はストレートのロングヘアーで中肉中背が好まれるそうです。どちらもやせすぎている人はあまりモテないとの事でした。



色鮮やかな島の人たちの服


■ロンドンには裁判所もあり、裁判にかけられた人は国選弁護士を無料で雇う事ができます。しかし弁護士はこの島には住んでおらず、キリバスの首都、タラワから送られてくるとの事です。
飲酒運転の取り締まりは警察官の判断に任されますが、アルコール濃度を計測する機械はこの島にはありません。裁判での証言が警察官の判断や心証にゆだねられるとしたら、警察権力が大きな力を持っているのではないかとの質問には、やはり証拠や目撃者がいない場合の裁判は非常に難航するらしく、市民には平等の権利があるとの事でした。

■この国にも選挙があります。18歳以上の男女の全てが投票権を持っています。日本と異なり選挙カーでの演説は認めておらず、ポスターを貼ることも無いそうです。マネアバと呼ばれる集会場が点在していて、そこで候補者は、集まった人に自分の政策を伝えます。また個人宅に訪問して投票をお願いすることも行われています。

■キリバスは軍隊を持たない国です。成績優秀な人を他国の軍隊に派遣してトレーニングを受けさせる事はあるそうですが、そこで学んだ技術を軍事力増強に活かす事はなく、主に個人のリクルートのために使われるそうです。(個人のスキルとして扱われる)

■2〜30年ほど前まで、この島の人々は小学校を卒業した後は働く人がほとんどだったそうで、年配の方でも英語を理解しない人が見受けられます。しかし若い世代は小学校から英語を勉強するらしく、子供たちは英語が堪能です。高校への進学人数は年間500人ほど、大学進学を希望する生徒はその内50人程度で、島には大学が無いので、彼らはキリバスの首都タラワに移ります。教会系の私立の学校は学費を支払う必要がありますが、公立校は全て無料です。また、成績優秀者には、大学進学や留学のための費用も国が負担します。一定の成績を収める事で海外のトレーニングにも奨学金が適用されますが、その場合帰国後5年間の国内業務が義務づけられていて、その前に離職する場合は全額を返金するそうです。

■この島では人々は土地を購入する事はできません。一部の例外を除き、土地は全て政府の財産で、人々は毎年リース料金を払って土地を借ります。借りている土地にどんな建物を建てるかは自由で、日照権や建ぺい率の問題も無いとの事です。しかし、4、5年ごとにリースの料金は上昇しているとの事でした。また車など大きな買い物の場合はローンが使えるそうですが、職業が安定している人に限られるそうです。ほとんどの家庭が銀行口座を持っていますが、島内ではクレジットカードは使用できません。



庭先で涼むネコ


■医療に関しては、基本的に無料です。しかしがん患者で高等医療が必要な場合はハワイやフィジーで放射線治療や摘出手術などを受けるそうです。特定の基準を満たす事でその場合の医療負担をゼロにする事もできるそうです。男性は肺がん、女性は乳がんの罹患率が高く、意外にも皮膚がんはほとんどないらしく、ジムは国内で皮膚癌患者とは会ったことがないそうです。

■1979年、キリバスは独立を果たしました。国の舵取りを全て自分たちでできるようになったと力強く言う彼に、国民一人一人の暮らしの変化についてきいてみたところ、やはり独立前と比べて多少厳しくなっているのは否めないと言う事でした。クリスマス島では支払いにオーストラリアドルが使われていますが、なんと驚く事に、過去にキリバスのコインが存在したとの事でした。彼は何年もかけてコインを集めていたそうで、それらを見せていただきました。1979キリバスと書かれていて、マネアバやカヌーなどがあしらわれている美しいコインでした。硬貨のみで紙幣は無いそうです。



ジムが見せてくれた貴重なキリバス硬貨





12/09
ソーラーソルト/クリスマス島の家族


この日は昼からカイトゥの案内でクリスマス島の塩の結晶をパウダーにする過程を見学させてもらうことになりました。日本から寄贈されたこの機械は今でもしっかり動いており、おいしそうなパウダーソルトを作り出していました。



パウダーソルトを作るための工場



日本から寄贈されたグラインダー




結晶をパウダーに変える作業



ソーラーソルト社で作られた塩の証明ラベル



出荷のためにパウダーソルトを袋詰する人


クリスマス島の塩ができるまで


島の人の暮らしを見てみたいと思っていたので、カンルンガにそのことを伝えると、「それなら代わりに友たちの家を見せてあげる」とのことで、タバキアにある彼女の友人の家に向かいます。ちょうど夕食の準備をしているご家族の家にお邪魔して写真を取らせていただきました。家の屋根は低く、床はありません。一家の奥様はそこにしゃがみ込み魚をさばいておられました。



夕食の準備をする人



夕食を待つ親子


その後カンルンガがテネシー近くのホテル内の島内唯一のおみやげ売り場でお別れのプレゼントを買ってくださいました。貝殻でできたアクセサリーをサプライズで頂いた時、明日この島を離れなくてはいけない悲しさで不覚にも泣きそうになってしまいました。彼女はこの島では僕にとっての母親のような存在でした。






最後の日が暮れていく



今回の滞在最後の夕日





12/10
クリスマス島最後の日


1週間に1便しかないハワイ行きの飛行機に乗るため、まだ暗い早朝にホテルを出発します。クリスマス島で知り合った人たちには昨日の段階でお別れを伝えてあります。



空港の入り口に並ぶ人々


空港に到着すると、出国手続きを待つ5〜60人の列がありました。僕の最後の仕事は皆様からお預かりしたクリスマスカードが飛行機に積まれ、無事ホノルルに到着することを見届けること。空港の貨物入り口で待っているとポスト・オフィス局長テレマが大きな袋を持って姿を現しました。そして無事飛行機に積み込まれることを確認しました。



ポストカードが飛行機に積み込まれます


これでこのミッションも一段落だと一息ついていると、なんとカンルンガ、リサ、ガタがわざわざお見送りに来てくれました。これには感動。「次はいつ会える?」との質問にはっきりとは答えられなかったけれど、また絶対会おうと約束して出国手続きに向かいました。そして飛行機が離陸しました。



左からカンルンガ、僕、リサ、ガタ



ホノルル行きの飛行機に搭乗



クリスマス島でのできごとは、そのすべてが楽しいものです。そのため記事にするとネガティブなイメージが無いように思えます。しかし、ごみ問題や、温暖化による海面の上昇などキリバス共和国が直面している問題があります。日本にいる我々は意識しなければこれらのニュースを見つけることさえできないかもしれません。しかしこのプロジェクトを通してキリバス共和国への支援活動を続けられるのも皆様のお陰です。

2014年の本プロジェクトでお預かりしたクリスマスカードは12月15日辺りから皆様のもとに無事に届いているとの情報を受けました。クリスマスを過ぎることなく到着させることができてスタッフ一同胸をなでおろしました。

2015年も是非大切な方にクリスマスカードをお送り下さい。クリスマス島の空気を十分に吸った本物のクリスマスカードを我々が責任を持って発送させていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


データ
【発行部数】
1,000セット
【送信部数】
912セット
日本宛:872セット  海外宛:40セット
【押印日程】 2014年12月3日〜12月10日 
【日本での配たち日】
2014年12月15日〜12月20日



Let's have a great day and have a great world!!!!



2012年のプロジェクトの報告

ご意見ご感想、誤配、遅延のご報告を是非お知らせ下さい。Mail to Project 事務局

Merry Christmas from Christmas islandは温暖化による海面上昇の被害を受けている南の島々の現状を、多くの方々に知っていただきたいという目的でロケットミュージック・エコプロデュース部が制作・販売しています。売上の一部は海面上昇の被害を受けている現地政府に提供されています。

協力:クリスマス島クリーンアップ基金
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