温暖化に関連するニュースの一覧(2004/8〜11)

2004/11/13

2004年8月〜11月までの温暖化のトピックスをまとめてみました。僕の備忘録のつもりで作っていますが、こうやって並べてみると興味深いですね。

地球温暖化で高度低下か エベレスト、30年で1m強

15日の新華社電によると、中国科学院青蔵高原研究所はこのほど、世界最高峰エベレスト(中国名チョモランマ)の高度が地球温暖化により、1966年から99年にかけ1・3メートル低下しているとの分析結果を発表した。
 科学院の計測によると、雪面を含めたエベレスト山頂の高度は66年に8849・75メートルだったが、その後一貫して低下。99年には8848・45メートルとなった。年間平均の低下幅は92−98年が約0・1メートルとそれ以前の10倍に達し、その後も拡大しているという。

8月15日 共同通信発

南国の昆虫、続々と東京に 温暖化の影響で北上か

九州・沖縄から関西にかけて主に生息しているチョウやセミが最近、東京の都心で目撃されるようになった。今夏は最高気温39・5度を記録する猛暑となった東京だが、年平均気温も約40年間で1・4度上昇している。昆虫出現の原因はよく分かっていないが「温暖化で東京でも生息できる環境になったのではないか」と専門家は指摘している。
 都内の昆虫を約20年間撮り続けている昆虫写真家の海野和男さん(57)は5月、東京都千代田区の北の丸公園で、ナガサキアゲハを見つけた。
 ナガサキアゲハは1920年代後半までは九州・沖縄と四国南部にしか生息していなかった。次第に北に分布が広がり、80年代半ばに関西にも定着したといわれる。
 海野さんは「東京では初めて。子どものころ見つけていたら、もっと感動しただろう」と話す。

9月8日 共同通信 発

集中豪雨、洪水の危険増加 気象研がスパコンで予測

地球温暖化が進行した今世紀末の日本列島では、7月の降水量が局地的に増加し、集中豪雨や洪水が起きる危険が高まるとする研究結果を、気象研究所(茨城県つくば市)の野田彰気候研究部長らが15日までにまとめた。九州南部は月間降水量が、現在の300ミリ程度から500ミリ以上に増える可能性がある。
 スーパーコンピューター「地球シミュレーター」を使い、世界でも例がない精密さで行った模擬計算の結果で、温暖化に伴う異常気象の脅威を具体的に示した。
 予測によると、7月の一日当たり平均降水量は、関東以南の太平洋岸を中心に、1990年以前より数ミリ増加。特に九州南部では増加量が7ミリを超え、突発的な豪雨による洪水や、地盤の緩みによる土砂崩れの危険が増す。

9月15日 共同通信 発

温暖化で米の収量10%減も 2090年、生育悪化で

地球温暖化が進むと2090年には国内の米の収穫量が現在より10%程度減るとの予測を、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)がまとめ、22日に同市内での環境関連の研究機関の成果発表会で報告した。
 同研究所の野内勇・気象研究グループ長らは、1990年から100年後の国内の気温が約3・5度上昇するとの国立環境研究所などの予測結果を基に、稲の穂が出た後40日間の気温と日射量から収量を予測するモデルを使って、収量の変化を予測した。
 その結果、栽培方法を現在と変えない場合は、収量は北海道など一部で増えるものの、全国平均で約10%減り、特に気温が高くなる中国や九州、四国の各地方は、15−18%程度の減少になると予測された。
 気温が上がると、稲が短期間で育つ一方、米が成熟する時間が短くなるなどして収量が減るほか、米の品質低下も懸念されるという。

9月22日 共同通信 発

地球温暖化の温室効果ガス、過去2年に原因不明の増加

10月11日、地球温暖化の温室効果ガスが、2002年以降に原因不明の増加をみせている。世界の科学者が、2002年以来、温室効果ガスの放出量が原因不明の増加を見せており、この傾向が定着すれば壊滅的な地球温暖化につながる可能性があると警告した。
 ただ、この増加は、気象環境の破壊を招く人的放出環境の変化に起因するよりも、例外的に、シベリアの森林火災や2003年に欧州を襲った記録的な猛暑と関係がある可能性もある、とみられている。
 英ハードレー・センターのリチャード・ベッツ氏(生態系・気象影響担当)は、「過去2年にわたり、二酸化炭素の放出ペースが平均を上回っている。過敏になるべきではないが、この傾向が5年以上も続くようであれば、懸念要因となってくるだろう」と述べた。

10月12日 ロイター 発

地球環境の将来に不安、9割超…読売世論調査

読売新聞社が9日から11日にかけて実施した全国世論調査(面接方式)で、将来の地球環境に不安を感じる人が9割を超えた。
 地球温暖化などを防ぐための「環境税」導入には「賛成」45%が、「反対」28%を上回るなど積極的な対策を支持する声も強い。不安に感じる環境変化では、「地球温暖化」を挙げる人が最も多く、この夏の猛暑や世界的な異常気象の広がりが、温暖化への危機感を高めているようだ。
 地球環境に不安を感じる人は、「大いに」「多少は」を合わせて90%に達し、この質問を始めた92年調査(85%)以降4回の調査で、初めて9割を超えた。
 環境変化で不安を感じるもの(複数回答)では、「地球温暖化」62%に続き、「化学物質による環境汚染」49%、「オゾン層の破壊」46%などがあげられた。
 温暖化による環境への影響の心配では、「猛暑や洪水、寒波などが増え、生活環境が悪化する」73%が最も多かった。
 「環境税」の導入に「賛成」は、小都市部では38%だったが、大都市部では55%に達するなど、大きな都市の住民ほど、賛成が多かった。
 温暖化防止のための「京都議定書」で、日本が世界に公約した温室効果ガスの削減目標の達成が危ぶまれているが、国が企業に対して二酸化炭素の排出量に上限を設けたり排出量の報告を義務づけたりする規制が必要か??では、「必要だ」が74%で、「そうは思わない」5%を上回った。
 また、現在の政府の環境対策を「評価していない」人は、「あまり」「全く」を合わせて63%にのぼり、「評価している」計29%を上回った。

◆調査方法
   ▼調査日=10月9〜11日
   ▼対象者=全国の有権者3000人(250地点、層化二段無作為抽出法)
   ▼実施方法=個別訪問面接聴取法
   ▼有効回収数=1818人(回収率60・6%)
   ▼回答者内訳=男47%、女53%▽20歳代10%、30歳代15%、40歳代17%、
    50歳代24%、60歳代21%、70歳以上13%▽大都市(東京23区と政令指定都市)
    19%、中核都市(人口30万人以上の市)18%、中都市(人口10万人以上の市)21%、
    小都市(人口10万人未満の市)20%、町村22%

10月21日 読売新聞 発

<京都議定書>ロシア下院が批准案を可決

ロシア下院は22日、地球温暖化防止のための京都議定書の批准法案を賛成多数で可決した。今後、上院での可決、プーチン大統領の署名を経て早ければ11月中にも正式に批准する見通し。議定書はロシアの批准から90日後に発効するため、来年初めにも発効が実現することになった。
 ロシア下院は同日、京都議定書とともにロシアと欧州連合(EU)との貿易拡大などをうたったパートナーシップ協定の批准法案も可決した。プーチン政権は、京都議定書批准を求めるEUに対し、ロシアの世界貿易機関(WTO)への加盟問題を絡めるなど外交交渉の取引材料にしていたが、加盟についてEUの大方の合意が得られ、議定書批准法案はスピード審議での可決となった。
 京都議定書の発効には、(1)55カ国以上の批准(2)批准先進国の二酸化炭素排出量が総排出量の55%以上??の二つの条件が必要で、排出量が先進国全体の17.4%を占めるロシアの批准が不可欠となっていた。
 ◇小池百合子環境相の話
 ロシアの批准に向けた大きな前進であり、歓迎する。今後、速やかにロシアの議定書批准が行われることを期待する。我が国は京都議定書を気候変動問題への取り組みの重要な第一歩であると位置付けている。国内対策・施策を強化し、我が国に課せられた削減約束を確実に達成したい。

10月22日 毎日新聞 発

<ロシア>京都議定書参加は第1段階だけ 批准法に付帯条件

ロシア下院が22日に可決した地球温暖化防止のための京都議定書の批准法で、ロシアが京都議定書の対象となる08〜12年の第1段階に参加するが「第2段階以降は、(各国との)交渉により、参加を決める」との付帯条件が付けられていることが分かった。
 ロシア下院のコサチョフ外交委員長は記者団に対し「第1段階だけに参加するとの明確な付帯条件を付けた。我々は、この期間に京都議定書がロシアの利益のために作用すると理解しているが、そうでないことが分かれば、議定書への参加を無条件に辞退する」と語り、第2段階以降の参加は未定との見方を示した。
 付帯条件は、プーチン大統領が盛り込むように提案したとみられる。ロシア国内では、京都議定書が経済成長を阻害するとの反対論が根強く、プーチン政権は、ロシア経済への影響を考慮しながら引き続き外交取引の材料とする考えだ。
 ロシアはソ連崩壊後の経済混乱で、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の排出量が90年当時と比べ約30%減少しており、第1段階では、その分の排出権を欧州連合(EU)などと取引し、利益を得ることが予想されている。
 環境保護派は、第2段階以降のさらなる国際的な取り組みが不可欠とみているが、13年以降のロシアの辞退で、地球温暖化防止の世界的な取り組みが大きく後退する恐れが出てきた。
 ◇環境保護団体 警戒強める
 13年以降の第2段階における温暖化防止のための具体的な枠組み作りは、今後の国際交渉で決めることになっている。世界の排出量の約17%(90年)を占めるロシアが第2段階以降に不参加となれば、温暖化防止の取り組みは全く不透明になるため、日本の環境保護団体は警戒を強めている。
 環境NGO(非政府組織)「気候ネットワーク」の平田仁子さんは「ロシアは京都議定書への批准を決めた議論の中で、経済を最優先にしてきた。排出量取引制度を使って余った排出権を売り、利益だけを得ることも考えられる。売り逃げ同然で、道義的に許されない。京都議定書の批准は、温室効果ガスの削減に真剣に取り組むことを約束したもので、第2段階以降は参加しないというのはあまりに身勝手だ」と批判する。
 一方、環境省幹部は「ロシアの関心がすでに京都議定書の発効後に力点が移った証拠ではないか」と冷静に分析する。

10月23日 毎日新聞 発

京都議定書、ロシア上院が批准承認法案を可決

ロシア上院本会議は27日、地球温暖化防止のための京都議定書の批准承認法案を審議、賛成139、反対1、棄権1で可決した。
 ロシアの批准手続きとして残るのはプーチン大統領の批准書署名だけとなった。同大統領の署名、批准書寄託後、90日後に議定書は発効する。大統領は11月中旬までに署名、来年2月には同議定書は発効し、温暖化防止に向けた国際的な取り組みが本格化する。
 露憲法によると、可決された法律は5日以内に大統領に送付され、大統領は受理後、2週間以内に署名、公布する、とされており、プーチン大統領は11月中旬までに署名する見通し。
 ロシアに同議定書批准を強く求めていた欧州連合(EU)とロシアの首脳会議が11月11日、オランダ・ハーグで開かれる予定で、関係筋によると、対外的なアピール効果をねらって、この場でプーチン大統領が批准書に署名する、との見方も出ている。
 プーチン大統領は今年5月のEUロシア首脳会議で、京都議定書の「批准準備を加速する」と明言。露政府は9月30日の閣議で批准方針を正式決定し、露下院が10月22日、批准承認法案を可決していた。
 京都議定書発効には、<1>55か国以上の批准<2>批准した先進国の二酸化炭素(CO2)排出量(1990年時点)合計が先進国全体の排出量の55%(同年)に達する、との条件が必要で、米国が2001年に脱退した後は、ロシアによる批准が絶対条件となっていた。

10月27日 読売新聞 発

<温暖化対策>途上国のCO2削減支援 経産・環境省

経済産業省と環境省は31日、発展途上国のCO2排出量削減支援に本格的に乗り出すことを明らかにした。京都議定書がロシアの批准で来春発効するが国内での取り組みだけでは温室効果ガス削減目標の達成が困難と判断、途上国の削減支援分を自国の削減量に算入できる制度を活用する。年末にも制度の活用を明記する方針だ。

11月1日 毎日新聞 発

プーチン露大統領、京都議定書批准書に署名

ロシア大統領府は5日、プーチン大統領が地球温暖化防止のための国際的ルールとなる京都議定書の批准書に署名した、と発表した。
 ロシアはこれまでに、下院、上院がそれぞれ批准承認法案を可決しており、署名により、ロシアによる同議定書批准の手続きはすべて終了した。ロシアは今後、国連事務総長に批准書を寄託し、その90日後に議定書は発効する。発効のカギを握っていたロシアの批准で、温暖化防止に向けた国際的取り組みが本格化する。

11月5日 読売新聞 発

大気中CO2濃度が急上昇 過去2年間で、日米観測

地球温暖化の原因となる大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度の上昇率がここ2年ほどの間、それ以前に比べ、目立って大きくなっていることが、日本や米国の研究機関などのデータで8日、明らかになった。
 原因は不明だが、CO2が大気中に蓄積されることによって起こる気温上昇が、一層のCO2濃度の上昇を招く悪循環が始まっている可能性を指摘する専門家もいる。
 温暖化防止のための京都議定書が発効することになったことを受け、環境保護団体などからは各国の削減対策強化を求める声が強まりそうだ。
 日本の東北大や国立極地研究所による南極・昭和基地での観測では2001年には368・4ppmだった年平均濃度が、02年には370・5ppm、03年には372・7ppmと2年連続で2ppm以上増加。それ以前は年1・5−1・6ppmだったのに比べて、上昇傾向が大きくなっていた。

11月8日 共同通信 発

北極で今世紀末7度上昇も 科学者チーム報告書

北極圏では今世紀末までに平均気温が最大7度上昇するなど、温暖化が急速に進み、ホッキョクグマやアザラシの絶滅や、大幅な海面上昇などの破局的な環境の変化が起こることが懸念されるとの調査報告書を、米国やノルウェーなど8カ国、約250人の科学者チームが9日までに発表した。
 報告書は、氷が解けることで、氷によって反射される太陽エネルギーの量が減ってさらなる温暖化を招くことや、温暖化が成層圏のオゾン層の回復を遅らせることなども指摘。「温暖化による北極の生態系破壊は、地球規模で深刻な影響をもたらす」と警告した。
 各国の研究者の現地調査やコンピューターシミュレーションなどを総合した「北極圏気候影響評価」は、現在のペースで大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が上昇すると、今世紀末には北極海を覆う夏場の氷が少なくとも50%減少、ここに生活を依存するホッキョクグマやアザラシ、海鳥などが絶滅する可能性があるとした。

11月9日 共同通信 発

温暖化ガス排出量8%増・環境省調査

 環境省は8日、2003年度の温暖化ガスの総排出量(速報値)をまとめた。前年度比0.4%増で、2月上旬にも発効する京都議定書の基準年(1990年)に比べると8.0%増になる。京都議定書で日本が約束している温暖化ガスの6%削減目標に対し、14ポイントの隔たりがある。排出量は9日に開く中央環境審議会(環境相の諮問機関)の地球環境部会に報告する。
 総排出量のうち、化石燃料などの消費で発生する二酸化炭素(CO2)は約9割を占める。CO2排出量を分野別でみると、工場などの産業部門が前年度比1.7%増、オフィスなどの業務部門と家庭部門はそれぞれ同0.1%増となった。運輸部門は同0.8%減だったが、90年比でみると19.5%増だ。環境省は産業部門などで排出量が増えた理由について「景気の回復で鉄鋼やセメントなどの生産量が増えたほか、東京電力の原子力発電所の長期停止の影響で火力発電の稼働時間が長くなったため」と分析している。

11月8日 日本経済新聞 発

米に批准要求へ 議定書、オール京都で 京都市と府、商議所

山田啓二京都府知事と桝本頼兼京都市長が10日午前、京都市上京区の府公館で懇談した。この中で府、市に京都商工会議所を加えた3団体で、ブッシュ米大統領に、地球温暖化防止に向けた京都議定書への復帰を求めるメッセージを出すことを決めた。
 ロシア政府の批准によって、来年2月に京都議定書が発効する見通しになったのを踏まえ、地球温暖化防止京都会議(COP3)開催地として、「オール京都」で米国に議定書の批准を求めることにした。
 懇談では、10月のロシア訪問で政府要人に議定書の早期発効を訴えた山田知事が「ロシアも批准してくれた。世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国が枠組みに入っていないのは憂慮すべきだ」と述べ、経済界を含めて米大統領への要請を提案した。桝本市長も「このままでは画竜点睛を欠く。再選のお祝いとともに届けよう」とこたえた。
 知事と京都市長の懇談会は、「府市協調」を進めるため毎年、この時期に行われている。

11月10日 京都新聞 発

京都議定書、来年2月16日発効=地球温暖化防止の国際ルール始動

ドイツ・ボンにある国連の気候変動枠組み条約事務局は18日、地球温暖化防止のための京都議定書が来年2月16日に発効すると発表した。

ロシア政府が同日、国連安保理の特別会合が開催されているナイロビでアナン国連事務総長に批准書を提出したのを受けたもの。これにより、1997年に京都で調印された温室効果ガスの国際的な削減ルールがようやく実施に移されることになった。 

11月19日 時事通信 発

チベットで急速に気温上昇 地球温暖化が一因

新華社電によると、中国チベット自治区の最近40年間の気温上昇が、中国の他地域と比べて5?10倍のスピードで進み、年間平均気温が10年ごとに0.26度のペースで上がっていることが、21日までに中国の気象研究者の調査で分かった。

40年間の中でも、特に1990年代に入ってから上昇スピードの加速が目立ち、季節別では秋と冬の上昇が顕著だという。また、標高が高い場所ほど上昇のペースが速く、海抜4000メートル以上の高地は、それ以下の場所より明らかに速く上昇している。

研究者は、気温上昇の理由について、一部は地球温暖化の影響だが、それ以外の多くの要因も考えられるとして「さらなる分析が必要だ」と指摘している。

ただ地元の農民にとっては、気温の上昇で一部作物の二期作、三期作も可能になるため、とりわけチベットの厳しい自然環境下では朗報になっているという。

11月21日 共同通信 発