ロシア京都議定書の批准を先送り

〜深刻な温暖化に政府を非難する声も〜

2002/04/11

読売新聞より非常に残念なニュースが発表されました。京都議定書の批准の鍵となっていたロシア政府が、批准を今秋以降に先送りすることを発表しました。各国は2002年中に議定書の発効を目指していましたが、年内の発行は絶望的となってしまいました。

原因は、議定書で決められている[排出量取引]にあるようです。森林が沢山あるロシアは今現在すでに温暖化ガスの削減目標をクリアーしているばかりか、それを越える温暖化ガス吸収力がある森林を抱えています。

逆に日本は、6%の削減目標をクリアーするのが難しいのが現状のようです。この様な時に、日本でクリアーできない分をお金を払ってロシアに買い取って貰うことが出来る精度が[排出量取引]です。

他国から買い取る総量は3億トンから6億トンで、ロシアは1トン15ドルで買い取るという強気の姿勢を見せていました。(ロシアの儲けは45億〜90億ドルとなるみ込み)日本やヨーロッパ各国は4ドル程度の値段を提案していますが、ロシアは取引を有利に進めるために、批准の先送りを発表したのです。

どこの国でも政治屋というのは・・・

ロシア政府は目先の儲けにつられて勝手なことを言っていますが、そのロシアでも今年の冬は記録的な暖冬だったという記事も併記されています。

右の写真はシベリアのヤクーツクのレナ川が雪解け水で氾濫してしまい、水没した家の屋根にペットと一種に避難している女性の写真です。

モスクワの1月〜2月の平均気温は平年に比べて6〜8度もたかったそうです。東京の比ではありません。洪水が起こったり、イナゴが大発生したり、ロシア国内では次々と異常が観測されているそうです。

ロシアの広大な永久凍土やツンドラ地帯の地下にある凍土が溶け始めると、その上に敷設されたパイプラインに大きな損害が出ると警告している専門家もいるそうです。

その影響はロシア国内のみならず、溶けた氷は水となって海に流れ込みますから、確実に海面上昇へとつながっていきます。

温暖化の影響によって[環境難民]となる人は2050年には世界中で1億5千万人にのぼるという推測もあるそうです。日本人全員よりも多い環境難民!いったいどうなってしまうのでしょうか?

お金儲けよりも大切なことが山積みだと言うことに何故気がつかないのでしょう?不思議です。

原文と写真出展:読売新聞2002年4月11日朝刊

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